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遺産分割の協議後に他の相続人が死亡して当該協議の証明者が一人となった場合の相続による所有権の移転の登記の可否について(平成28年3月2日法務省民二第154号法務省民事局民事第二課長通知)
(通知)標記について、別紙甲号のとおり大阪法務局民事行政部長から当職宛てに照会があり、別紙乙号のとおり回答しましたので、この旨貴管下登記官に周知方お取り計らい願います。
(別紙甲号)所有権の登記名義人Aが死亡し、Aの法定相続人がB及びCのみである場合において、Aの遺産の分割の協議がされないままBが死亡し、Bの法定相続人がCのみであるときは、CはAの遺産の分割(民法(明治29年法律第89号)第907条第1項)をする余地はないことから、CがA及びBの死後にAの遺産である不動産の共有持分を直接全て相続し、取得したことを内容とするCが作成した書面は、登記原因証明情報としての適格性を欠くものとされています(東京高等裁判所平成26年9月30日判決(平成26年(行コ)第116号行政取消等請求控訴事件)及び東京地方裁判所平成26年3月13日判決(平成25年(行ウ)第372号処分取消等請求事件)参照)。
これに対して、上記の場合において、BとCの間でCが単独でAの遺産を取得する旨のAの遺産の分割の協議が行われた後にBが死亡したときは、遺産の分割の協議は要式行為ではないことから、Bの生前にBとCの間で遺産分割協議書が作成されていなくとも当該協議は有効であり、また、Cは当該協議の内容を証明することができる唯一の相続人であるから、当該協議の内容を明記してCがBの死後に作成した遺産分割協議証明書(別紙)は、登記原因証明情報としての適格性を有し、これがCの印鑑証明書とともに提供されたときは、相続による所有権の移転の登記の申請に係る登記をすることができると考えますが、当該遺産分割協議証明書については、登記権利者であるC一人による証明書であるから、相続を証する情報(不動産登記令(平成16年政令第379号)別表の22の項添付情報欄)としての適格性を欠いているとの意見もあり、当該申請に係る登記の可否について、いささか疑義がありますので照会します。
(別紙)
遺産分割協議証明書
平成20年11月12日〇〇県○○市○○区○○町〇丁目〇番〇号Aの死亡によって開始した相続における共同相続人B及びCが平成23年5月10日に行った遺産分割協議の結果、〇〇県○○市○○区○○町〇丁目○番〇号Cが被相続人の遺産に属する後記物件を単独取得したことを証明する。
平成27年1月1日
〇〇県○○市○○区○○町〇丁目○番〇号
(Aの相続人兼Aの相続人Bの相続人)C(印)
不動産の表示
(略)
(別紙乙号)本年2月8日付け不登第21号をもって照会のありました標記の件については、貴見のとおり取り扱われて差し支えありません。
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